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遺言書作成で絶対に避けたい失敗例

はじめに

「遺言書を書いておけば、家族に迷惑をかけない」と考える方が増えています。でも、ちょっとした間違いで遺言書が無効になったり、逆に家族がもめる原因になることがあります。

この記事では、実際によくある失敗例を分かりやすく説明します。難しい法律用語はできるだけ使わず、「何がダメで、どうすればいいのか」を中心にお伝えします。


遺言書って何?

遺言書とは、自分が亡くなった後に「誰に何を残すか」を書いた書類です。


遺言書の種類

  1. 自筆証書遺言:自分で書く遺言書(一番多い)
  2. 公正証書遺言:公証役場という場所で専門家に作ってもらう遺言書(一番確実)


遺言書が無効になる理由

  • 書き方のルールを守っていない
  • 何を言いたいのか分からない
  • 本人が書いたか怪しい


それでは、具体的な失敗例を見ていきましょう。




1. 書き方のルールでの失敗


自分で書く遺言書(自筆証書遺言)には、守らないといけないルールがあります。


失敗例①:パソコンで書いてしまった


事例
「字がきれいじゃないから」とパソコンで遺言書を作って、最後に名前だけ手書きした → 無効になった


なぜダメ?
自分で書く遺言書は、全部を手書きしないといけません。本人が書いたことを証明するためです。


正しい方法

  • 全部手書きで書く
  • どうしても手書きが難しい人は、公証役場で作ってもらう
  • 財産のリスト(目録)だけはパソコンでもOK(2019年から)


失敗例②:日付が「5月吉日」になっていた


事例
遺言書に「令和6年5月吉日」と書いた → 無効になった


なぜダメ?
「吉日」では具体的にいつ書いたか分かりません。日付がはっきりしないと無効です。


正しい方法

  • 「令和6年5月15日」のように、年月日まで正確に書く
  • 西暦でも和暦でもOK
  • 自分の誕生日など、覚えやすい日に書くのもいい


失敗例③:修正液で直してしまった


事例
書き間違えて修正液で消して書き直した → その部分が無効になった


なぜダメ?
遺言書の訂正には決まったやり方があります。修正液や修正テープは使えません。


正しい方法

  • 訂正が面倒なら、新しい紙に書き直す方が簡単で確実
  • どうしても訂正したい場合は、専門家に相談する


失敗例④:夫婦で一緒の紙に書いた


事例
夫婦で相談して、1枚の紙に「夫の遺言」と「妻の遺言」を書いた → 全部無効になった


なぜダメ? 遺言書は必ず一人ずつ、別々の紙に書かないといけません。


正しい方法

  • 夫婦でも必ず別々の紙に書く
  • 同じ日に書いても、別の紙ならOK


失敗例⑤:ハンコが100円の認印だった


事例
認印を押していたが、相続後に「これは本当に父のハンコ?」と疑われてもめた


なぜダメ?
法律上は認印でも有効です。でも、実印(印鑑登録したハンコ)じゃないと、「本当に本人が書いたの?」と疑われやすい。


正しい方法

  • できれば実印を使う
  • 印鑑証明書も一緒に保管しておく
  • 公証役場で作れば、こういう心配はない



2. 書く内容での失敗


書き方のルールは守っても、書いた内容でトラブルになることがあります。


失敗例⑥:「全部を長男に」だけ書いた


事例
「全財産を長男に相続させる」とだけ書いた → 他の子どもたちが怒って裁判になった


なぜダメ?
法律では、子どもや配偶者には「最低限もらえる分」(遺留分)が保証されています。遺言で無視しても、後からお金を請求できます。


正しい方法

  • 他の子どもにも少しは財産を残す
  • 「なぜこういう配分にしたか」の理由を書く
  • 例:「長男には家業を継いでもらいたいから、お店の建物と土地をあげる。次男には預金を渡す」


失敗例⑦:「自宅」としか書いていない


事例
「自宅は長男に」と書いたが、実は家を2軒持っていた → どっちの家か分からなくてもめた


なぜダメ?
「自宅」「預金」だけでは、どれのことか特定できません。


正しい方法
財産は具体的に書く:

  • 家や土地:住所と地番を正確に(登記簿の通りに書く)
  • 銀行の預金○○銀行△△支店、口座番号まで書く
  • :会社名と株数を書く


失敗例⑧:昔の財産のままだった


事例
20年前に書いた遺言書に「A銀行の定期預金を長女に」と書いてあったが、その預金は10年前に解約済みだった


なぜダメ?
書いた財産がもうない場合、その部分は意味がなくなります。


正しい方法

  • 遺言書は3〜5年に1回見直す
  • 家を売った、大きなお金が入ったなど、財産が大きく変わったら書き直す
  • 遺言書は何度でも書き直せる(新しいものが有効になる)


失敗例⑨:「多めに」という曖昧な書き方


事例
「長男には多めに相続させる」と書いた → 「多め」って具体的にいくら?ともめた


なぜダメ?
「多め」「少し」「適当に」では、はっきり分かりません。


正しい方法
具体的に書く:

  • 「長男に半分、次男に4分の1、三男に4分の1」
  • または「長男には自宅と土地、次男には預金」のように具体的に


失敗例⑩:妻の住む場所を考えていなかった


事例
夫が「自宅は長男に」と書いた → 残された妻は「私はどこに住めばいいの?」となった


なぜダメ?
配偶者(夫や妻)が安心して暮らせることが一番大事です。


正しい方法

  • 自宅は配偶者に残す
  • または「配偶者居住権」という権利を使う(家の所有権は子どもに、住む権利は配偶者に)
  • 配偶者が生活できるお金も残す



3. 借金やローンについての失敗


失敗例⑪:借金のことを書き忘れた


事例
財産だけを書いて、実は何千万円もの借金があることを書き忘れた → 相続した子どもが借金も引き継ぐことに


なぜダメ?
相続では、お金や家だけでなく借金も一緒に引き継がれます。


正しい方法

  • 借金があることを遺言書に書く、または別の紙に書いておく
  • 「A銀行から○○万円の借り入れがあります」と明記
  • 借金が多い場合、相続を放棄できる期間は3ヶ月しかないので、早く知らせることが大切



4. 家族への配慮が足りない失敗


法律的にOKでも、家族の気持ちを考えないと、後でもめます。


失敗例⑫:理由を説明していない


事例
長男に多く財産を渡す内容にしたが、理由が書いてない → 他の子どもは「自分は嫌われていた」と思って悲しんだ


なぜダメ?
不平等に見える配分には、ちゃんとした理由があるはずです。でも、それが伝わらないと家族は傷つきます。


正しい方法
遺言書の最後に「付言事項」として理由やメッセージを書く:

「長男には家業を継いでもらいたいので、お店の土地と建物を渡します。次男と三男には、これまで十分な教育を受けさせることができました。みんな同じように大切な子どもです。仲良く助け合って生きていってください。」


失敗例⑬:長年介護してくれた子への配慮がない


事例
長女が10年間介護してくれたのに、遺言書では兄弟みんな平等 → 長女は「私の苦労は何だったの?」と怒った


なぜダメ?
特別に頑張ってくれた人には、その分多く残すのが公平です。


正しい方法

  • 介護してくれた子には多めに財産を残す
  • 「長女は長年私の介護をしてくれました。その感謝を込めて、遺産の半分を長女に残します」と書く


失敗例⑭:家族へのメッセージがない


事例
財産の配分だけが書いてあって、家族への言葉が何もない → 家族は「事務的だな」と寂しく感じた


なぜダメ? 遺言書は最後のメッセージです。
家族への愛情や感謝を伝えるチャンスです。


正しい方法
最後に家族へのメッセージを書く:

「家族みんなに支えられて、幸せな人生でした。本当にありがとう。これからもみんな仲良く、健康で幸せに暮らしてください。」

法律的な効力はありませんが、こういう言葉が家族の心を癒します。



5. 遺言を実行する人についての失敗


失敗例⑮:実行する人を決めていなかった


事例
遺言書を書いたが、誰が実行するか決めていなかった → 手続きに家族全員の協力が必要で、一部が協力しないので進まない


なぜダメ?
遺言を実行する人(遺言執行者)がいないと、家族全員で協力しないと手続きができません。


正しい方法
信頼できる人を「遺言執行者」として指定する:

「この遺言を実行する人として、長男○○(住所、生年月日)を指定します。」

行政書士や弁護士を指定することもできます。


失敗例⑯:実行する人が高齢すぎた


事例
同じ年の友人を遺言執行者にしたが、自分が亡くなった時にはその友人も認知症になっていた


なぜダメ?
遺言を書いてから何年も経つと、指定した人も年をとります。


正しい方法

  • 予備の人も決めておく:「○○ができない場合は、△△を指定します」
  • 定期的に遺言書を見直す
  • 若い世代の人を選ぶ、または専門家を選ぶ



6. 保管と管理での失敗

せっかく書いた遺言書も、ちゃんと保管しないと意味がありません。


失敗例⑰:保管場所を誰にも言っていなかった


事例
遺言書を金庫にしまって誰にも教えなかった → 家族は遺言書があることを知らず、普通に遺産を分けた・・・数年後に遺言書発見、大混乱


なぜダメ?
遺言書があることを家族が知らないと、遺言の通りに財産を分けられません。


正しい方法

  • 信頼できる人に「遺言書は○○に保管している」と伝える(内容を見せる必要はない)
  • 法務局に預ける制度を使う(一番安全で、亡くなったら家族に通知される)


失敗例⑱:何度も書き直して、どれが最新か分からない


事例
遺言書を何回も書き直したが、古いのを捨てずに取っておいた → 死後、複数の遺言書が見つかり、どれが本物か分からない


なぜダメ?
新しい遺言書が有効ですが、日付が不明確だったり、複数あると混乱します。


正しい方法

  • 新しく書いたら、古いのは破って捨てる
  • 新しい遺言書に「これまでの遺言は全部取り消します」と書く


失敗例⑲:家に置いていて書き換えられた(または疑われた)


事例
家に置いていた遺言書が、誰かに書き換えられた疑いが出た → 筆跡鑑定などで大騒ぎに


なぜダメ?
家に置いておくと、勝手に見られたり、書き換えられたり、捨てられたりするリスクがあります。


正しい方法
安全な場所に保管する:

  • 法務局に預ける(一番おすすめ、無料)
  • 公正証書遺言にする(公証役場に原本が保管される)
  • 弁護士や信託銀行に預ける
  • 銀行の貸金庫に入れる


失敗例⑳:見つかるのが遅すぎた


事例
遺言書がなかなか見つからず、相続税の申告期限(10ヶ月)が迫ってきた → 仕方なく普通に分けて税金を払った・・・その後遺言書発見、やり直しで大変なことに


なぜダメ?
遺言書が見つからないと、期限までに手続きができません。


正しい方法

  • 保管場所を必ず伝えておく
  • エンディングノート(終活ノート)に「遺言書の場所」を書いておく
  • 法務局や公証役場を利用すれば、この問題はなくなる



まとめ:失敗しない遺言書のポイント


書き方の基本

  1. 全部手書きで書く(パソコンは基本NG)
  2. 日付は正確に書く(「吉日」はダメ)
  3. 実印を使う
  4. 修正は面倒なので、書き直す


書く内容のポイント

  1. 財産は具体的に書く(「自宅」じゃなく住所と地番)
  2. 「残りの財産は○○に」という一文を入れる
  3. 借金があれば書いておく
  4. 配偶者の生活を一番に考える


家族への配慮

  1. なぜこう分けるか理由を書く
  2. 介護してくれた人には多めに
  3. 家族へのメッセージを忘れずに


実行と保管

  1. 遺言執行者を決めておく
  2. 保管場所を伝えるまたは法務局に預ける
  3. 3〜5年ごとに見直す
  4. 古い遺言書は破棄する


一番大切なこと


遺言書は、家族への最後のプレゼントです。

  • 「法律的に正しい」だけでなく
  • 「家族みんなが納得できる」内容にする
  • 「感謝の気持ち」を伝える


これが、家族の絆を守る遺言書の条件です。


こんな時は専門家に相談を

  • 家族関係が複雑(再婚、前妻の子がいるなど)
  • 財産がたくさんある、種類が多い
  • 会社や事業を継がせたい
  • 家族の仲があまり良くない


こういう場合は、自分で書かずに、行政書士や弁護士に相談することを強くおすすめします。




お問い合わせ

遺言書のご相談は、アーネスト行政書士事務所へお気軽にどうぞ。

【この記事のポイント】 遺言書は「正しい書き方」と「家族への思いやり」の両方が大切。自信がない時は、専門家に相談するのが一番安心です。

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