在宅医療を始めるには?
クリニックで在宅医療(訪問診療)を始めるには?
近年、高齢化の進展により「住み慣れた自宅で療養したい」というニーズが増えています。
その中で、クリニックによる在宅医療(訪問診療)の重要性はますます高まっています。
しかし、外来診療とは違い、在宅医療を始めるには特有の届出・体制づくり・設備準備が必要です。
この記事では、これから在宅医療を始めたいクリニックの先生に向けて、専門家の視点から分かりやすく解説します。
1. 在宅医療を始めるための「必須の届出」
在宅医療を行うには、保健所と厚生局への届出が欠かせません。
◆ 保健所への届出
在宅医療を新たに行う場合は、
「診療所開設届(変更届)」を提出し、診療内容の追加を行います。
また、訪問診療に従事する医師が変わる場合には、
「診療従事者変更届」が必要になることもあります。
◆ 厚生局への届出(保険請求に必要)
在宅医療は保険算定が複雑です。
そのため、以下のような届出が必要となります。
・在宅療養支援診療所(在支診)の届出
・機能強化型在支診の届出
・在宅時医学総合管理料に関する届出
・在宅患者訪問点滴注射管理指導料の届出 等
どの届出が必要かは、クリニックの診療スタイルや患者数によって異なります。
2. 在宅医療には「24時間対応体制」が求められる
在宅医療の特徴は、患者さんの生活に合わせて医療を提供することです。
そのため、次のような体制づくりが重要です。
◆ 24時間の電話対応・往診体制
夜間・休日を含めて、緊急時に医師が対応できる体制が求められます。
在支診を取得する場合は、この体制が必須です。
◆ 連携医療機関・介護事業者との協力
・訪問看護ステーション
・連携病院(入院が必要な場合)
・ケアマネジャー
・薬局
特にケアマネとの連携は、患者紹介の中心になるため非常に重要です。
◆ スタッフ体制の整備
訪問診療には、医師・看護師に加えて、
在宅医療の算定に詳しい事務スタッフの存在が大切です。
3. 訪問診療に必要な「設備と物品」
在宅医療では、必要な医療機器を“持ち運ぶ”必要があります。
◆ 主な準備物
・携帯型心電計
・パルスオキシメータ
・携帯用エコー(あれば◎)
・在宅看取りに必要な薬剤
・点滴・注射セット
・処置セット
・携帯型吸引器
・往診用の車両
特に看取りまで行う在宅医療では、薬剤や緊急処置セットが重要になります。
4. 運営面で押さえるべきポイント
在宅医療をスムーズに運営するには、次の3つが鍵です。
◆ ① 訪問エリアの設定
無理のない半径圏内で訪問範囲を設定することが重要です。
◆ ② ケアマネ・病院との関係構築
地域連携は在宅医療成功の最大のポイントといえます。
◆ ③ 算定ルールの理解
在宅医療は保険算定が複雑であり、専門スタッフの育成が不可欠です。
5. 在宅療養支援診療所(在支診)の取得要件
在支診を取得すると、
在宅医療の加算が増えるだけでなく、地域連携でも信頼度が上がります。
主な要件は以下のとおりです。
1.24時間対応・・・医師が24時間対応できる体制
2.緊急対応・・・緊急時に対応できる医師の確保
3.看取り体制・・・過去の看取り実績、または連携による補完
4.訪問看護との連携・・・ステーションとの協力体制
まとめ:在宅医療は「地域とともに行う医療」
クリニックが在宅医療を始めるためには、
・保健所・厚生局への届出
・24時間対応体制の構築
・必要機器の準備
・医療機関・介護事業者との連携
・在支診取得の検討
といった、多岐にわたる準備が必要です。
在宅医療は手間も多いですが、
地域の患者さんの生活を支える非常にやりがいのある医療です。
行政書士として、届出書類の作成や在宅医療の立ち上げサポートも可能ですので、
もしお困りの先生がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。