デジタル遺産の相続手続き最新ガイド【2026年版】
📱 デジタル遺産の相続手続き最新ガイド【2026年版】
🔍 はじめに
スマートフォンやパソコンの普及により、私たちの生活は大きく変化しました。写真、動画、SNSアカウント、暗号資産、電子マネー、オンラインバンキング――これらのデジタル資産は、相続の対象となる大切な財産です。
しかし、デジタル遺産の相続手続きは、従来の相続とは異なる特有の課題があります。パスワードが分からない、アカウントが凍結される、デジタル資産の存在自体が分からないなど、多くの相続人が困難に直面しています。
本記事では、行政書士の視点から、デジタル遺産の相続手続きについて最新の情報と実務的なアドバイスをお届けします。
💡 デジタル遺産とは何か
デジタル遺産の定義
デジタル遺産とは、インターネット上やデジタル機器に保存されている、故人が所有していた情報や財産的価値を持つデジタルデータのことを指します。
📊 主なデジタル遺産の種類
金銭的価値のあるデジタル資産
- オンラインバンキングの口座
- ネット証券の株式・投資信託
- 暗号資産(仮想通貨)
- 電子マネー・ポイント残高
- オンライン決済サービスの残高(PayPay、楽天ペイなど)
情報・コンテンツ資産
- SNSアカウント(Facebook、Instagram、X(旧Twitter)など)
- メールアカウント
- クラウドストレージ(Google Drive、iCloud、Dropboxなど)
- デジタル写真・動画
- ブログやYouTubeチャンネル
サブスクリプション・契約関連
- 定額制サービス(Netflix、Spotify、Amazon Primeなど)
- オンラインゲームのアカウント・アイテム
- ドメイン・レンタルサーバー契約
- 携帯電話・インターネット回線契約
⚠️ デジタル遺産相続の課題
🔐 アクセス困難性
最大の課題は、故人のアカウントやデバイスにアクセスできないことです。
具体的な問題点
- パスワードが分からない
- 二段階認証が設定されている
- 生体認証(指紋・顔認証)でしかロック解除できない
- デジタル資産の存在自体を把握できていない
📜 法的な不明確さ
デジタル遺産に関する法整備は、まだ十分とは言えません。
現状の課題
- サービス利用規約と相続法の関係が不明確
- プライバシー保護と相続権のバランス
- デジタル資産の評価方法が確立されていない
- 国際的なサービスの場合、準拠法が複雑
⏰ 時間制約
多くのデジタルサービスには、放置による自動削除やアカウント凍結のリスクがあります。
📋 デジタル遺産の相続手続き実務
ステップ1️⃣ デジタル資産の把握
調査方法
- 故人のスマートフォン・パソコンの確認
- メールボックスの精査(サービス登録通知、請求書など)
- クレジットカード・銀行口座の利用明細
- 郵便物(契約書、請求書、パスワード管理メモなど)
- 故人の手帳やノート
医療機関特有のデジタル資産
医療機関を経営されていた方の場合、以下のような業務関連デジタル資産にも注意が必要です。
- 電子カルテシステムのアカウント
- オンライン資格確認システムの管理者権限
- レセプトコンピュータのデータ
- 医療機関のウェブサイト・ドメイン
- 予約システムのアカウント
- 医薬品発注システムのアカウント
ステップ2️⃣ 各サービスへの連絡
基本的な手続きの流れ
- サービス提供会社への連絡
- 必要書類の準備(戸籍謄本、死亡診断書、相続人の身分証明書など)
- 相続手続き申請
- アカウントの承継または削除
主要サービスの相続手続き窓口
銀行・証券会社 各金融機関のお客様サポート窓口に連絡。相続手続き専用の窓口が設けられていることが多い。
携帯電話会社 各キャリアのショップまたはカスタマーサポート。名義変更または解約手続きが可能。
クレジットカード会社 カスタマーセンターに連絡。未払い残高の確認と解約手続き。
SNS・メールサービス サービスごとに対応が異なる。Googleは「アカウント無効化管理ツール」、Facebookは「追悼アカウント」制度あり。
ステップ3️⃣ 暗号資産(仮想通貨)の相続
暗号資産は特に注意が必要なデジタル遺産です。
暗号資産相続の特徴
- ウォレットの秘密鍵がないとアクセス不可能
- 取引所のアカウント情報が必要
- 相続税の課税対象(死亡時の時価で評価)
- 価格変動が大きい
手続きのポイント
- 取引所アカウントの有無を確認
- ハードウェアウォレットの有無を確認
- 秘密鍵・リカバリーフレーズの捜索
- 専門家(税理士・弁護士)への相談を推奨
ステップ4️⃣ データの保存・削除
保存すべきデータ
- 思い出の写真・動画
- 重要な連絡先情報
- 業務関連の重要書類
削除すべきデータ
- 個人情報が含まれる機密データ
- 不要なアカウント
- 定期課金サービス(無駄な支出を防ぐ)
🛡️ デジタル遺産を遺す側の準備
エンディングノートの活用
記載すべき項目
- 利用しているオンラインサービス一覧
- 各アカウントのID(パスワードは別管理)
- 重要なデータの保存場所
- 削除してほしいアカウント・データ
- 承継してほしいアカウント・データ
パスワード管理の工夫
推奨する管理方法
- パスワード管理ツールの利用(1Password、Bitwardenなど)
- マスターパスワードの保管方法を明確にする
- 信頼できる人にアクセス方法を伝えておく
- 定期的な見直しと更新
⚠️ 注意点: パスワードをそのままエンディングノートに記載することは、セキュリティ上のリスクがあります。パスワードは別途厳重に管理し、アクセス方法のみを記載することをおすすめします。
デジタル遺言の検討
近年、デジタル遺産に関する指示を含めた遺言書の作成が注目されています。
遺言書に記載できる内容
- デジタル資産の承継者の指定
- アカウント削除の指示
- データの取り扱い方針
- パスワード管理者の指定
行政書士のサポート
当事務所では、デジタル遺産を含めた包括的な相続計画のサポートを行っています。
- デジタル資産目録の作成支援
- エンディングノート作成サポート
- 遺言書作成(公正証書遺言の原案作成)
- 死後事務委任契約の作成
💼 医療機関経営者のためのデジタル遺産対策
クリニックや薬局を経営されている方は、個人のデジタル資産に加えて、事業関連のデジタル資産についても対策が必要です。
🏥 医療機関特有の対策項目
電子カルテ・医療情報システム
- 管理者権限の引継ぎ計画
- ベンダーとの契約関係の明確化
- データバックアップの方法と保管場所
- 法定保存期間(5年間)への対応
行政手続き関連
- オンライン資格確認システムのアカウント
- 厚生局への届出関連のデジタル情報
- 保健所への届出書類の電子データ
- 各種許認可に関するデジタル記録
事業承継との連携 医療機関の事業承継においては、デジタル資産の承継も含めた総合的な計画が重要です。
- 後継者へのシステム権限移行計画
- 患者データの適切な引継ぎ手順
- 医療機関ウェブサイトの管理権限移行
- オンライン予約システムの引継ぎ
📱 2026年最新トレンド
AIによるデジタル遺産管理
AI技術の発展により、デジタル遺産管理のツールも進化しています。
新しいサービス例
- AIによるアカウント自動検出ツール
- 死後の自動通知サービス
- デジタルメモリアルサービス
法整備の動き
デジタル遺産に関する法的環境も少しずつ整備されつつあります。
注目すべき動向
- デジタル遺産の相続に関するガイドラインの策定
- 各サービス提供会社の相続手続き標準化
- 個人情報保護法との調整
✅ デジタル遺産相続チェックリスト
相続人が行うべきチェック項目
初期段階 □ 故人のデバイス(スマホ、PC、タブレット)の確保 □ メールアカウントへのアクセス確認 □ クレジットカード・銀行口座の利用明細入手 □ 郵便物・契約書類の整理
資産把握段階 □ オンラインバンキングの有無確認 □ 証券口座の有無確認 □ 暗号資産の保有確認 □ 電子マネー・ポイントの残高確認 □ 定額制サービスの契約確認
手続き段階 □ 各サービス提供会社への連絡 □ 必要書類の準備(戸籍謄本、死亡診断書など) □ 相続手続き申請 □ 不要なサービスの解約 □ データのバックアップと整理
医療機関関連(該当する場合) □ 電子カルテシステムの管理権限確認 □ 医療機関ウェブサイト・ドメインの管理権限確認 □ オンライン資格確認システムのアカウント確認 □ ベンダーとの契約状況確認 □ 患者データの法定保存対応確認
🤝 行政書士ができるサポート
デジタル遺産相続の支援業務
遺産整理サポート
- デジタル資産の調査・目録作成
- 各サービス会社への相続手続き代行サポート
- 必要書類の取得代行
生前対策サポート
- デジタル資産目録の作成支援
- エンディングノート作成アドバイス
- 遺言書原案作成(公正証書遺言)
- 死後事務委任契約書の作成
医療機関向け特別サポート
- 事業承継計画におけるデジタル資産対策
- 電子カルテ等医療システムの承継計画立案支援
- 行政手続き関連デジタル情報の整理
- 後継者への円滑な引継ぎサポート
他士業との連携
デジタル遺産の相続では、複数の専門家の協力が必要な場合があります。
連携体制
- 税理士: 相続税申告、暗号資産の評価
- 弁護士: 遺産分割協議、紛争解決
- 司法書士: 不動産登記、相続登記
- 社会保険労務士: 医療機関の雇用関連手続き
💰 費用の目安
デジタル遺産相続サポート料金
基本調査・目録作成: 50,000円〜
- デジタル資産の調査
- 目録作成
- 手続き方法のアドバイス
個別手続きサポート: 30,000円〜(1サービスあたり)
- 各種サービス会社への連絡サポート
- 必要書類準備のアドバイス
- 手続き進行の管理
包括的サポート: 150,000円〜
- デジタル資産の全体管理
- 複数サービスの手続きサポート
- 他士業との連携調整
医療機関向けサポート: 別途お見積り
- 医療情報システムの承継計画立案
- 事業承継に伴うデジタル資産対策
- 行政手続き関連の整理
※費用は案件の規模や複雑さにより変動します。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
📞 よくある質問(FAQ)
Q1: 故人のスマートフォンのロックが解除できません。どうすればいいですか?
A: キャリアショップに相談することで、一定の条件下でロック解除できる場合があります。ただし、相続人であることを証明する書類(戸籍謄本など)が必要です。また、AppleのiPhoneやGoogleのAndroid端末では、メーカー側でもロック解除できない場合があります。生前にパスワードを家族に伝えておくか、遺言書やエンディングノートに記載方法を残しておくことが重要です。
Q2: 暗号資産の秘密鍵が見つかりません。諦めるしかないでしょうか?
A: 秘密鍵がないと、ウォレット内の暗号資産にアクセスすることは極めて困難です。故人のパソコン、スマートフォン、USBメモリ、紙のメモなどを徹底的に探してください。また、取引所のアカウントで保管されている暗号資産であれば、取引所の相続手続きでアクセスできる可能性があります。
Q3: SNSアカウントを削除したいのですが、どうすればいいですか?
A: 主要なSNSには相続人向けの手続きが用意されています。Facebook・Instagramは「追悼アカウント」への変更または削除、Xは削除のみ対応しています。各サービスのヘルプページから相続手続きの案内を確認し、必要書類を提出してください。
Q4: 医療機関を経営していた父が亡くなりました。電子カルテのデータはどうすればいいですか?
A: 診療録(電子カルテ)は法律で5年間の保存が義務付けられています。事業を承継する場合は後継者へ、廃止する場合は保存義務を果たした上で適切に削除する必要があります。ベンダーと相談しながら、データの保存方法と管理体制を整えてください。当事務所では医療機関特有のこうした課題についてもサポートしています。
Q5: デジタル遺産の相続税はどうなりますか?
A: デジタル資産も通常の財産と同様に相続税の課税対象です。オンラインバンキングの預金、証券口座の株式、暗号資産などは死亡時の時価で評価されます。特に暗号資産は価格変動が大きいため、早めに評価額を確定させる必要があります。相続税の申告については税理士にご相談ください。
Q6: 生前にできるデジタル遺産対策はありますか?
A: 最も重要なのは、デジタル資産の目録を作成し、アクセス方法を信頼できる人に伝えておくことです。エンディングノートやデジタル遺産専用のノートを作成し、定期的に更新してください。また、重要なデータはクラウドストレージにバックアップし、家族がアクセスできるようにしておくことも有効です。
Q7: 医療機関のホームページやドメインはどう扱えばいいですか?
A: ドメインやレンタルサーバーの契約も相続財産です。事業を承継する場合は名義変更、廃止する場合は解約手続きが必要です。ただし、ドメインやウェブサイトには患者様向けの情報が掲載されていることが多いため、突然削除するのではなく、閉院のお知らせを掲載するなど、段階的に対応することをおすすめします。
🎯 まとめ
デジタル遺産の相続は、従来の相続とは異なる特有の課題があります。
重要なポイント
- デジタル資産は立派な相続財産
- 生前の準備が何より重要
- パスワード管理とエンディングノート作成
- 専門家のサポートを活用
医療機関経営者の方へ 医療機関のデジタル資産は、患者様の個人情報を含む重要なものです。事業承継や廃止の際には、法令遵守と患者様への配慮を両立させた対策が必要です。
行政書士ができること
- デジタル資産の調査と目録作成
- 相続手続きのサポート
- 生前対策(エンディングノート、遺言書)
- 医療機関の事業承継サポート
デジタル遺産の相続でお困りの際は、ぜひ専門家にご相談ください。
📧 お問い合わせ
デジタル遺産の相続手続きや生前対策について、お困りのことがございましたら、お気軽にご相談ください。
デジタル社会における新しい相続のかたちを、一緒に考えていきましょう。
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最終更新日: 2026年1月 この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的アドバイスではありません。具体的な案件については専門家にご相談ください。