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日本政策金融公庫と銀行の併用融資、実際どうやる?

日本政策金融公庫と銀行の併用融資、実際どうやる?

開業資金や設備投資を検討する際、「日本政策金融公庫だけでは足りない」「銀行も組み合わせたい」というご相談をよくいただきます。実は、公庫と銀行の併用融資は珍しくありません。むしろ、うまく組み合わせることで資金調達の選択肢が広がります。

今回は、行政書士として創業支援に携わる立場から、併用融資の実務的なポイントをお伝えします。



💡 なぜ併用するのか?


併用融資を検討する理由は主に3つです。


資金需要が大きい場合

クリニックや薬局の開業では、設備投資だけで数千万円かかることも。公庫の融資限度額では足りないケースがあります。


リスク分散

一つの金融機関に依存せず、複数の借入先を確保することで、将来の資金繰りに柔軟性が生まれます。


それぞれの強みを活かす

公庫は創業融資に強く金利も比較的低め。一方、地方銀行は地域密着で長期的な取引関係を構築できます。



📋 併用融資の基本パターン


実務では、主に2つのパターンがあります。


パターン1:同時申込

開業時に公庫と銀行へ同時に融資を申し込む方法です。事業計画書は共通で使えますが、それぞれの審査基準に合わせた説明が必要になります。公庫には創業の熱意と事業の実現可能性、銀行には返済能力と担保・保証の話が中心になります。


パターン2:段階的申込

まず公庫で創業融資を受け、事業が軌道に乗ってから銀行融資を追加する方法。実績ができてからの方が銀行の審査も通りやすくなります。



⚠️ 実務上の注意点


併用融資を進める際、気をつけるべきポイントがあります。


資金使途の明確化

「公庫からは運転資金500万円、銀行からは設備資金1,000万円」というように、何にいくら使うのか明確に分けておきます。重複申請は信用問題になりかねません。


返済計画の現実性

複数の借入があると月々の返済額も増えます。事業計画上、本当に返済できる収益が見込めるか、慎重にシミュレーションしましょう。開業初年度から無理な返済計画は審査で指摘されます。


申込順序の検討

同時申込の場合、どちらの審査結果を待つべきか判断が難しいケースも。一般的には、公庫の審査が比較的早いため、公庫の内諾を得てから銀行交渉を本格化させる方法もあります。


自己資金の配分

総事業費5,000万円で自己資金1,000万円の場合、公庫と銀行それぞれに「自己資金をいくら見せるか」も戦略です。両方に同じ預金通帳を提示しても問題ありませんが、説明の仕方には工夫が要ります。



💬 金融機関への説明方法


併用融資を申し込む際、「他からも借りる予定です」と正直に伝えるべきです。隠して後から発覚すると信頼を損ないます。


ただし伝え方にはコツがあります。「公庫だけでは足りないので銀行にも」ではなく、「事業規模に対して適切な資金調達として、公庫2,000万円・銀行1,500万円の計画です」と、全体像を示した上で説明すると印象が違います。


銀行側には「公庫で創業部分の基礎資金を確保し、貴行には長期的なお付き合いを前提に設備資金をお願いしたい」という姿勢を示すと、前向きに検討してもらえることが多いです。



📝 行政書士としてできること


私たち行政書士は融資のあっせんや交渉はできませんが、事業計画書の作成支援や許認可手続きを通じて、融資を受けやすい環境を整えることができます。


特に医療機関の場合、診療所開設届や保険医療機関指定申請のスケジュールと融資実行時期の調整は重要です。開設許可が下りる前提で融資が実行されるケースもあれば、許可後でないと実行できない金融機関もあります。


また、法人設立から融資申込までの一連の流れで、定款認証や登記のタイミングも融資スケジュールに影響します。これらの手続きを円滑に進めることで、結果的に融資実行までの時間短縮につながります。



✅ まとめ


併用融資は決して特別なことではなく、事業規模に応じた現実的な選択肢です。大切なのは、総借入額に対する返済計画の妥当性と、各金融機関への誠実な情報開示。


開業準備は融資だけでなく、物件契約、内装工事、スタッフ採用、許認可手続きなど、多くのタスクが同時進行します。それぞれの専門家と連携しながら、計画的に進めていくことが成功への近道です。


当事務所では、医療機関の開設を中心に、事業計画の整理や許認可手続きのサポートを行っています。融資準備でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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